防災備蓄の最低限リスト。これだけは揃えたい基本セット

防災備蓄を始めようと思って検索すると、何十品目も並んだリストが出てきて、そっと画面を閉じたくなることがあります。でも実際のところ、命と生活を3日間つなぐために本当に必要なものは、ぐっと少なくて済みます。まずは「これだけ」を揃えて、あとから少しずつ足していく。そんな順番で考えると、防災備蓄はずいぶん気軽なものになります。

なぜ「最低3日分」なのか

農林水産省や内閣府は、家庭での備蓄について「最低3日分、できれば1週間分」を呼びかけています。3日という数字の背景には、大きな災害の直後は人命救助が最優先になり、外からの支援物資が行き渡るまでに時間がかかるという事情があります。電気・ガス・水道といったライフラインの復旧にも数日単位の時間がかかるのが普通です。

さらに、南海トラフ巨大地震のように被害が広域に及ぶケースでは、物流の混乱で支援が安定するまで1週間程度かかる可能性も指摘されています。とはいえ、最初から1週間分を完璧に揃える必要はありません。まず3日分。これが現実的なスタートラインです。

最低限の備蓄リスト(大人1人・3日分)

「これだけは」という基本セットを表にまとめました。量の目安は大人1人・3日分です。

品目 量の目安 ポイント
飲料水 9L(1日3L×3日) 飲用と調理用の合計。2Lペットボトルなら5本前後
食料 9食分 レトルトご飯、缶詰、カップ麺など、火を使わなくても食べられるものを中心に
簡易トイレ 15回分(1日5回×3日) 断水すると水洗トイレは使えません。実は水・食料と並ぶ最重要品
明かり 懐中電灯またはランタン1つ以上+予備電池 両手が空くヘッドライトやランタン型が便利
情報・電源 モバイルバッテリー1つ+携帯ラジオ スマホは情報収集と連絡の生命線。乾電池式の充電器も心強い
カセットコンロ 本体1台+ボンベ2〜3本 温かい食事が取れるだけで気持ちがかなり違います

食料は「災害用の特別な非常食」でなくて構いません。さば缶や焼き鳥缶、パックのおかゆ、栄養補助バーなど、調理せずそのまま食べられるものが3日分の半分ほどあると、ライフラインが止まった直後でも困りません。残りはお湯や電子レンジで温めるレトルト類で十分です。

水の「1人1日3L」は農林水産省が示している目安で、飲料用と調理用だけの量です。手洗いや食器洗いなどの生活用水は含まれていないので、お風呂の残り湯をためておくなどの工夫を組み合わせると安心です。簡易トイレの「1日5回」は、内閣府のガイドラインでも目安とされている大人の平均的なトイレ回数です。自宅の便器にかぶせて使う袋と凝固剤のセットが市販されていて、ホームセンターや通販で手軽に買えます。

一人暮らしと家族、それぞれの分量目安

一人暮らしの場合

上の表の量がそのまま目安になります。水9Lと9食分の食料は、段ボール1〜2箱に収まる程度。クローゼットの足元やベッド下に十分置ける量です。東京都の「東京備蓄ナビ」を使うと、家族構成や住まいに合わせた必要量の目安を質問に答えるだけで計算してくれるので、自分の場合の具体的な量を知りたいときに便利です。

家族の場合

基本は人数分を掛け算するだけです。4人家族なら水36L、食料36食分、簡易トイレ60回分が3日分の目安になります。乳幼児がいる家庭はミルクや離乳食、おむつを、高齢の家族がいる場合は常備薬や食べやすい食品を人数分に加えてください。カセットボンベは岩谷産業の試算で大人2人なら1日1本前後が目安です。気温が低い季節ほど多く使うので、4人家族の3日分なら6本以上あると安心です。

揃える順番。迷ったらこの優先度で

一度に全部買う必要はありません。お給料日ごとにひとつずつでも、確実に前に進みます。優先度の高い順に並べるとこうなります。

  • 1. 飲料水。代わりがきかず、ないと数日で命に関わります
  • 2. 簡易トイレ。我慢できないのに忘れられがちな盲点です
  • 3. 食料。まずは普段食べ慣れた缶詰やレトルトでOK
  • 4. 明かりとモバイルバッテリー。夜の停電と情報遮断に備えます
  • 5. カセットコンロとボンベ。温かい食事は3日目以降の心の支えになります

水と簡易トイレだけなら数千円程度から揃えられます。「今週は水だけ」でも立派な一歩です。

備蓄を「続く仕組み」にする

備蓄でいちばんよくある失敗は、買ったまま忘れて賞味期限切れになることです。これを防ぐのが、政府広報でも紹介されているローリングストックという方法です。普段食べているレトルトや缶詰を少し多めに買い、食べたら買い足す。これを繰り返すだけで、特別な非常食を買わなくても常に新しい食料が家にある状態を保てます。

最初の3日分が揃ったら、次は1週間分への拡張や水の定期的な入れ替えなど、少しずつ育てていけば大丈夫です。備えの考え方は物価高で見直したい暮らしの固定費と備え5選でも触れているので、家計と合わせて整えたい方はそちらもどうぞ。そのほかの防災の話題は防災備蓄の記事一覧にまとめています。

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